はじめに:その「洞性不整脈」、基本的に気にしなくてOKです。
人間ドックや健診の心電図検査で、「洞性不整脈を認めます」と書かれているのを見て、
「『不整脈』ってことは、心臓が悪いってこと?」と不安になった方もいらっしゃると思います。
結論から言うと、洞性不整脈は「正常の範囲内」の揺らぎであり、危険な不整脈ではありません。
この記事では、洞性不整脈について、人間ドック・健診を担当する医師の立場からやさしく解説します。
洞性不整脈ってそもそも何?
心臓のリズムを決めている「洞結節」
私たちの心臓は、右心房の上の方にある「洞結節(どうけっせつ)」と呼ばれる部分が規則的に電気信号を出すことで「トン・トン・トン…」とリズムよく動いています。
つまり、この「洞結節」は正常な心臓のペースメーカーであるということです。
洞性不整脈=洞結節のリズムに“ゆらぎ”がある状態
洞性不整脈とは、
洞結節から出ているリズムの間隔が、 ちょっと不規則になっている状態
です。
- 「洞性」=洞結節からリズムが生まれている(=正常のルート)
- 「不整脈」=心拍の間隔が一定ではない
という意味で、
“電気の通り方は正常の経路だけど、リズムに多少の揺れがある”状態を指します。むしろ心血管系が正常に働いていることの証拠であるとも言われたりします。
代表的なのは「呼吸性洞性不整脈」
とくに健診で多いのが、
呼吸性洞性不整脈(こきゅうせい・どうせい・ふせいみゃく)
と呼ばれるタイプです。
呼吸と心臓の動きは脳(脳幹)を介して連携しており、呼吸のたびに心拍は変動しています。この変動が目立つのが呼吸性洞性不整脈といわれる状態です。
これは、
- 若い人
- 迷走神経(副交感神経)が強く働いている人
でみられることが多く、病的ではない不整脈です。
生活習慣との関係は?何か気をつけるべき?
洞性不整脈は肥満、糖尿病、高血圧などとの関連があるとも言われていますが、むしろそれらは洞性不整脈の頻度を下げるという研究もあり、明確な生活習慣病との関連は分かっていません。
ただし、これらの生活習慣病はそれぞれ放置すると将来的に心臓病や脳卒中など重篤な病気にかかるリスクが上がりますので、まずは生活習慣の改善から行っていきましょう。
洞性不整脈がきっかけで、「生活を少し整えてみようかな」と思えたら、それはあなたにとって大きなプラスになります。
こんな症状がある人は、一度循環器内科で相談を
洞性不整脈そのものは病的でないことが多いのですが、
次のような自覚症状がある場合は、一度循環器内科での相談をおすすめします。
- 動悸(ドキドキ・脈が飛ぶ感じ)がよくある
- めまい・立ちくらみ
- 胸の痛み・圧迫感
- 階段や坂道で息切れがひどくなってきた
- 一瞬“意識が遠のく”ような感じがする
これらの症状は、
- 別の種類の不整脈
- 狭心症・心筋症など心臓の病気
- 起立性低血圧など血圧の問題
が隠れているサインである可能性もあるためです。
まとめ
「不整脈」という言葉はインパクトが強く、人間ドックの結果で見つかると、とても不安になると思います。
ただ、洞性不整脈の多くは、“よくみられる心臓のリズムの揺らぎ” として扱われるものですので、自覚症状がないのであれば、心配しなくてOKです。
一方で、
- 気になる症状がある
- 他の心電図異常もある
という場合は、一度循環器内科などで相談してみるのがおすすめです。
このサイト「さすらい先生の予防医療ナビ」では、人間ドック・健診でよくある所見について、
- 「どこまで心配すべきか」
- 「どこからは病院に相談した方がいいか」
- 「日常生活では何を整えればいいか」
などを、現場目線で解説していきます。
