【現役医師執筆】腹部超音波(エコー)健診結果の大辞典|所見の意味や判定基準を完全解説

健康診断や人間ドックで腹部超音波検査(エコー検査)を受け、
「肝血管腫」
「胆嚢ポリープ」
「腎嚢胞」
などといった謎のワードが結果表に書いてあり、不安や疑問を抱かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、「C判定(要再検査)」「D判定(要精密検査)」と書かれていて、自分の所見がどれくらい危険なものかを知りたいという方もいらっしゃるでしょう。

この大辞典は、そのような受診者の方の不安や疑問を少しでも解消できるように作成したものです。

この記事では、腹部超音波検査の結果表に出てくる主な所見を網羅し、それぞれがどんな意味か、どれくらい心配なものなのか等を、人間ドックに従事する医師の視点からまとめています。

人間ドックや健診の結果表を手元に置きながら、必要なところだけ読んでいただければと思います。

【この大辞典の使い方】

まずはお手元に、人間ドックや健診の結果表をご用意ください。

  • ステップ1:まずは「臓器の名前」を確認する 
    結果表の所見欄を見てみましょう。「肝臓」「胆嚢」「膵臓」「腎臓」「脾臓」など、どの臓器について書かれているかを確認します。
  • ステップ2:下に続く「所見一覧表」から、その言葉を探す 
    このすぐ下にある「所見一覧表」には、健診でよく使われる謎のワード(所見名)が並んでいます。お手元の結果表に書かれているワードを見つけてみてください。
  • ステップ3:ワードをタップして、解説へジャンプ! 
    見つけたワードをタップ(クリック)すると、ページをスクロールすることなく、そのワードの解説が記載されている部分へジャンプします。解説を読み終わったら、各パートの右下にある「▲ 所見一覧表へ戻る」をタップすれば、一覧表に戻ってくることができます。

ほとんどの所見を網羅しているはずですが、施設ごとのルールもありますので、漏れているものがあるかもしれません。掲載してほしいワードがあれば、コメントして頂ければ、追加するか検討させていただきます。

所見一覧表

対象の臓器健康診断・人間ドックでよくある所見
肝臓脂肪肝 / 慢性肝障害 / 肝腫瘍・肝腫瘤/ 肝血管腫
肝嚢胞・肝嚢胞性腫瘍疑い / (肝内)胆管拡張 / 肝内石灰化・肝内結石
胆道気腫 / 肝血管異常(P-Vシャント、門脈瘤など) / 限局性低脂肪化域
胆嚢・肝外胆管胆嚢腫大 / びまん性胆嚢壁肥厚・限局性胆嚢壁肥厚
胆嚢腺筋腫症・RAS様エコー・コメット様エコー
胆嚢ポリープ / 胆嚢腫瘤・胆嚢腫瘍(疑い) / 胆嚢結石・胆管結石
胆道気腫 / 胆泥・肝外胆管胆泥・デブリエコー・胆砂
胆管拡張 / 膵・胆管合流異常疑い / 胆管壁肥厚 / 胆管腫瘍
膵臓膵臓萎縮 / 膵臓腫大 / 膵臓の変形 / 膵管拡張・主膵管拡張
膵腫瘤・膵腫瘍 / 膵嚢胞・膵嚢胞性腫瘍(疑い) /
膵石または膵内石灰化 / 膵血管異常
脾臓脾臓の変形・多脾症 / 脾臓腫大 / 脾腫瘤・脾腫瘍(疑い)
脾嚢胞・脾嚢胞性腫瘍(疑い) / 副脾
脾内石灰化 / 脾血管異常 / 脾門部腫瘤
腎臓腎臓腫大 / 腎臓萎縮 / 腎臓の変形 / 腎腫瘤・腎腫瘍 / 腎血管筋脂肪腫 / 腎嚢胞・腎嚢胞性腫瘍(腫瘤)・多発性嚢胞腎 / 傍腎盂嚢胞
腎石灰化 / 腎結石・腎盂結石・尿管結石 / 腎盂拡張・水腎症
腎盂腫瘍・尿管腫瘍 / 腎血管異常
腹部大動脈大動脈の石灰化・壁肥厚・プラーク・動脈硬化
腹部大動脈瘤 / 腹部大動脈解離
その他リンパ節腫大 / 腹水 / 胸水 / 心嚢水 / 腹部腫瘤

肝臓

脂肪肝

以下の記事をご参照ください。

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慢性肝障害

「慢性肝障害」とは、肝細胞(肝臓の細胞)の持続的な損傷や炎症により線維化が進行し、最終的に肝硬変や肝不全に至る病態です。

肝障害の原因としては、ウイルス性肝炎(B型肝炎、C型肝炎)、アルコール性肝疾患、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)等があります。

腹部超音波では、「肝縁鈍化」「実質の粗造なエコーパターン」「肝表面の結節状凹凸」等がみられる場合に、慢性肝障害を考えます。

画像的にどれくらい慢性肝障害らしいかにもよりますが、再検査あるいは消化器内科への受診が必要な所見です。

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肝腫瘍・肝腫瘤

「肝腫瘍」や「肝腫瘤」は、肝臓に何か”カタマリ”がある際に使われる表現です。

超音波の検査だけではそのカタマリが良性か悪性か判断しきれない、あるいは悪性の疑い(肝細胞がんや、転移性肝がんなど)がある場合に、結果表にこの表現が記載されます。

肝臓によく見られる良性腫瘍として「肝血管腫」があります。肝血管腫に典型的な所見がみられた場合は結果表には「肝血管腫」と書かれますので、本項目のような「肝腫瘍」や「肝腫瘤」という表現は使いません。
「肝血管腫」については、別項目(肝血管腫)で解説していますので、そちらをご参照ください。

なかには、良性か悪性か(≒肝血管腫かそうでないのか)判別しにくいカタマリもありますが、全てに対して精密検査を行っていては外来がパンクしてしまいますので、人間ドック学会のマニュアルでは、「肝臓に、慢性肝障害や肝硬変を疑うような所見がある」「病変の最大径が15mm以上である」「病変が2つ以上ある」などの場合に、精密検査を勧めるということにしています。精密検査では、造影CTや(造影)MRIを撮影します。

「肝細胞がん」は、基本的には肝硬変がある場合に発生する腫瘍です。しかし、B型肝炎に感染している場合や、最近増加しているMASLDの場合などはそうとも限らないので、注意する必要があります。

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肝血管腫

肝血管腫(肝臓の海綿状血管腫)は、肝臓によくみられる良性の腫瘍です。これは、細い血管がスポンジのように複雑に絡み合ってできたカタマリであり、”がん”のように周囲の正常な細胞を破壊したりすることはありません。
有病率は0.4〜20%であり、女性に多いという特徴があります。5cm未満では多くは無症状で、5cmを超えると腹部の違和感や膨満感を認める可能性があるとされています。

超音波検査では、「マージナルストロングエコー」「カメレオンサイン」「ワックスアンドウエインサイン」「ディスアピアリングサイン」などの特徴的な所見を認めた場合に診断できます。

肝血管腫であることが確定的な場合には、年1回の超音波検査が推奨されています(増大したり縮小したりすることがあるためです)。

「肝血管腫疑い」と記載されている場合は、検査担当者が「肝血管腫に見えるが、確信はできない」あるいは「肝血管腫でも説明できるが、そうでない可能性もある」と考えたということを意味します。そのような場合は「肝腫瘤」や「肝腫瘍疑い」という表現をすることが推奨されていますが、施設や判定医の方針・慣習でそうなっていることが多いので、柔軟に捉える必要があります。いずれにしろ、判定医としては、サイズ(の変化)や背景肝の状態、既往歴を総合してD判定(要精密検査)にするかを決めていますので、結果表の指示に従うことが大切です。

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肝嚢胞・肝嚢胞性腫瘍疑い

「肝嚢胞(かんのうほう)」とは、肝臓の中にできた「水のたまった袋」のことです。生まれつきのもの、あるいは加齢に伴って形成されたものであり、頻度で言うと成人の2〜18%にみられる所見です。
袋の中身はただの透明な液体であり、”がん”のように周囲の細胞を破壊することはありません。サイズが数cm程度であれば完全に無症状で、治療の必要もなく放置しても問題ありません。ただし、まれに10cmを超えるような巨大な肝嚢胞が周囲の臓器を圧迫して腹痛や膨満感を引き起こすことがあります。

超音波検査で「肝嚢胞」と確定していれば、追加の検査は必要ありません。

一方で、超音波で観察したときに、ただの”水たまり”ではなく、一部に”カタマリ”の部分がみられたり、中の液体に何かが混じっていそうな場合は「肝嚢胞性腫瘍」の可能性があるので、精密検査が必要です。

「肝嚢胞性腫瘍」としては、具体的には「粘液性嚢胞性腫瘍」や「嚢胞腺がん」などが挙げられます。

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(肝内)胆管拡張

「肝内胆管(かんないたんかん)」とは、肝臓の中で網の目のように張り巡らされている、胆汁(脂肪の消化を助ける消化液)の通り道のことです。肝臓で作られた胆汁は、この細い枝のような肝内胆管を伝って集まり、肝臓を出ると肝外胆管となって十二指腸へと送り出されます。
通常、肝内胆管は細いので、超音波検査では画面にほとんど映りません。
しかし、結果表に「肝内胆管拡張」という所見がある場合には、何らかの原因で肝内胆管が拡張しており、ある程度の太さではっきり映っていることを意味します。

肝外胆管の拡張を表す「胆管拡張」という所見については、別項目(胆管拡張)で解説していますので、そちらをご参照ください。

原因としては、「肝臓の中に何らかの腫瘤があり、胆管が閉塞して拡張している」「肝臓の外に何らかの腫瘤があり、肝内胆管も肝外胆管も拡張している」「原発性硬化性胆管炎やIgG4関連硬化性胆管炎などの炎症性疾患がある」「Caroli病などの先天的な疾患により胆管が拡張している」などが考えられます。

いずれにしても精密検査が必要ですので、医療機関に受診する必要があります。

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肝内石灰化・肝内結石

「肝内石灰化(かんないせっかいか)」と「肝内結石(かんないけっせき)」は、どちらも超音波検査において「肝臓の中に硬い成分(カルシウムを含むカタマリ)が映っている」という状態を指します。
超音波検査では、石灰化や結石は明確に白く映るので、診断はしやすいです。

肝内石灰化

「肝内石灰化」は、感染(結核など)・炎症性変化・壊死・変性・血管壁の石灰化などを反映していることが多いです。いずれにしても、何らかの変化が起きた「成れの果て」の状態ですので、もはや肝臓の機能には影響を与えず、”がん”のように周囲の組織を破壊することもありません。つまり、基本的には、そのまま放置して良いものです。

しかし、人間ドック学会のマニュアルにおいて「肝内石灰化」は「超音波検査による経過観察」が推奨されています。

それはなぜかというと、「腫瘍(できもの)の内部に石灰化が混ざっているケース」があるためです。ハッキリした腫瘍であれば超音波検査で捉えられますが、腫瘍の本体が周囲の肝臓の組織とそっくりの色(エコー輝度)をしている場合、石灰化の白い影だけが目立っていて腫瘍があることに気付けない場合があります。
また、肝臓は大きい臓器ですので、石灰化の場所によっては超音波で詳細を観察しにくいこともあります。

つまり、毎年の検査は「石灰化そのものが悪化しないか」を見ているというよりは、「注意すべき別の病気が隠れていないか」を定期的にチェックし、安全性を担保するための運用なのだと理解していただければと思います。

肝内結石

「肝内結石」は、肝内胆管に結石が存在する状態です。病名で言うと、「肝内結石症」となります。日本を含む東アジアに多い病気です。原発性の肝内結石症は減少傾向ですが、近年は、手術で胆道再建を施行した後に出現するケースが増えています。
胆管炎や胆管の拡張・狭窄、肝臓の部分的な萎縮が合併することがあり、症状としては腹部の違和感や吐き気がみられることがあります。
何も症状がなく、画像上でも上記のような合併症がみられなければ、定期的な画像検査で経過観察していくことになります。

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胆道気腫

胆道気腫」←こちらの項目をご参照ください。

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肝血管異常(P-Vシャント、門脈瘤など)

「肝血管異常」とは、肝臓の中を走る様々な血管(動脈・門脈・静脈)に、通常とは異なる構造や血流のパターンが見られる状態の総称です。具体的には以下のようなものが含まれます。

  • シャント(血管の異常な合流・近道): 本来は別々に走るべき血管同士が、途中で直接繋がってショートカットを作ってしまっている状態です(門脈と静脈が繋がる「P-Vシャント」、動脈と門脈が繋がる「A-Pシャント」、動脈と静脈が繋がる「A-Vシャント」)。
  • 血管瘤(血管のコブ): 肝臓の動脈や門脈の一部が、風船のように膨らんでコブになっている状態です(動脈瘤・門脈瘤)。
  • 側副血行路(異常な迂回路): 門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)など、肝臓への血流が滞る病気が原因で、本来は見えないはずの血管が「迂回路」として異常に発達している状態です。

これらは、原則的には精密検査が必要な所見です。ただし、すでに分かっている病変や、小さい門脈瘤・P-Vシャントの場合は、超音波検査による経過観察のみで良いという判断になることもあります。

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限局性低脂肪化域

「限局性低脂肪化域(げんきょくせいていしぼうかいき)」とは、「脂肪肝があり、肝臓全体に脂肪がたまっている中で、周囲と比較して脂肪のたまりが少ない部分」のことです。

超音波検査(エコー)の画面では、脂肪がたまった「脂肪肝」の部分は、超音波が細かく反射して、全体的に白く映し出されます。
しかし、この限局性低脂肪化域の部分は周囲に比べて脂肪のたまりが少ないため、全体が白く映っている中でポツンとグレーに浮き上がって見えるのが特徴です。

超音波で観察し、明らかに限局性低脂肪化域であると判断できる場合は、精密検査は不要です。

なぜ肝臓の中で一部だけ脂肪のたまりが少ないところがあるのかを説明します。
肝臓には、門脈という太い血管から、腸管から吸収した栄養分を大量に含む血液が流れ込んでいます。この栄養の中には脂肪分が含まれるので、脂肪分を食物から過剰に摂取すると、肝臓には全体的に脂肪がためこまれていくことになります。
しかし、肝臓のなかの特定のエリア(特に胆嚢の近くや肝臓の入り口付近など)には、門脈とは別に、胃や胆嚢から脂肪分の少ない血液が流れ込んでくるので、周囲に比べてあまり脂肪がたまりません。
つまり、これらのエリアが「限局性低脂肪化域」になりやすいということです。

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胆嚢・肝外胆管

胆嚢腫大

「胆嚢腫大(たんのうしゅだい)」とは、文字通り、胆汁を一時的に溜めておく袋である「胆嚢」が、通常よりも大きく膨れ上がってしまっている状態を指します。

超音波検査(エコー)の画面では、胆嚢の長径(長さ)や短径(横幅)を測定し、規定のサイズを超えている場合にこの所見が記録されます。具体的には、「最大短径≧36mm」や「短軸径≧4cmまたは長軸径≧8cm」といった基準があります。

胆嚢腫大の原因として最も警戒しなければならないのが、「胆嚢や胆管のどこかが詰まっていて、胆汁の流れがせき止められている」というものです。具体的には、「胆嚢の出口や、その先にある胆管の内側に胆石がカチッとはまり込んでしまっている」、あるいは「悪性腫瘍(胆管がんや膵臓がんなど)が胆汁の通り道を塞いでしまっている」状況が挙げられます。このような場合は精密検査が必要になります。

超音波で観察し、上記のような胆汁の流れをせき止める病変を認めない場合は、精密検査は必要ないとされています。胆嚢のサイズには個人差があるうえ、糖尿病、妊娠、遺伝的・民族的要因、胆石、自律神経障害などの影響で腫大がみられることもあります。

胆嚢は食後に小さくなる性質があります。その状態では、正確にサイズや病変を評価できません。
人間ドックの前に絶食して頂くのは、血糖値や中性脂肪の値に影響するからという理由もありますが、胆嚢を正確に評価するためでもあります。

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びまん性胆嚢壁肥厚・限局性胆嚢壁肥厚

「びまん性胆嚢壁肥厚」とは、「胆嚢の壁が全体的に厚い」という意味です。

原因としては「急性胆嚢炎」「胆嚢腺筋腫症」「慢性胆嚢炎」「黄色肉芽腫性胆嚢炎」「胆嚢がん」など胆嚢自体の病気や、何らかの原因で胆嚢の壁に浮腫がある(むくんでいる)状態が挙げられ、原因の特定のために精密検査が必要になります。

「限局性胆嚢壁肥厚」とは、「胆嚢の壁が一部厚い」という意味です。

原因としては、「胆嚢ポリープ」「胆嚢腺筋腫症」「胆嚢がん」などが挙げられます。精密検査が必要な場合がありますので、結果表の指示に従ってください。

「胆嚢腺筋腫症」「胆嚢ポリープ」については、それぞれ胆嚢腺筋腫症胆嚢ポリープの項目をご参照ください。

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胆嚢腺筋腫症・RAS様エコー・コメット様エコー

胆嚢腺筋腫症とは、胆嚢の壁に存在する「Rokitansky-Aschoff sinus(RAS)」という構造と、その他の組織が増生(増殖)し、胆嚢の壁全体あるいは一部が厚くなる病気です。

超音波検査では、RASを反映する小嚢胞構造(「RAS様エコー」)を認めたり、RASに沈着したコレステロール結晶を反映する「コメット様エコー(コメットサイン/comet-tail artifact)」を認めたりします。

人間ドックで「胆嚢腺筋腫症」がみられた場合は、1年後や半年後の再検査が必要です。
というのも、胆嚢腺筋腫症の一部の型(分節型)では”胆嚢がん”の発生率が比較的高いとされているほか、そもそも超音波だけでは”胆嚢がん”との区別がつきにくい場合があるからです。

「コメット様エコー(コメットサイン/comet-tail artifact)」を認めた場合、ほとんどが胆嚢腺筋腫症または慢性胆嚢炎によるものであり、悪性病変(がん)である可能性はかなり低いという報告があります。

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胆嚢ポリープ

「胆嚢ポリープ」とは、胆嚢の壁から内側に向かって突き出した「突起物」のことです。
実は「ポリープ」というのは病気の名前ではなく、あくまでこの「突き出した形」そのものを指す言葉です。そのため、その中身(組織学的な正体)が何であるかが問題になります。

健診で見つかるポリープの多くは、「コレステロールポリープ」や「炎症性ポリープ」などの心配のない病変です。
しかし、それ以外に「幽門腺腺腫」や「ICPN」と呼ばれる腫瘍性のポリープもあり、これらは将来的にがん化するリスクがあったり、あるいはすでに「胆嚢がん」そのものであったりするので注意が必要です。

超音波検査で見つかるポリープは、小さくて「根元にくびれがある」形をしていることが多く、これらは基本的には心配のない病変であることが分かっています。
一方、10mm以上であったり「根元にくびれがない」形をしている場合には、先ほど挙げたような”注意が必要なポリープ”の可能性があるので、精密検査を勧めることになっています。

“注意が必要なポリープ”の場合には、結果表に「胆嚢ポリープ」ではなく「胆嚢腫瘤」や「胆嚢腫瘍疑い」と記載するように推奨されていますが、運用上の都合で「胆嚢ポリープ」と書かれているのにC判定やD判定のこともありますので、判定に従うようにしましょう。

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胆嚢腫瘤・胆嚢腫瘍(疑い)

胆嚢の壁にできる「できもの」は、基本的に「ポリープ」の形をしていることが多いですが、物によっては「ポリープ」とは言いがたい形だったりします。そのようなときに「胆嚢腫瘤」や「胆嚢腫瘍疑い」という記載がなされることがあります。
また、形はポリープのようでも「注意が必要なポリープ」である場合に、「胆嚢腫瘤」や「胆嚢腫瘍疑い」という記載がなされることもあります。

「注意が必要なポリープ」については、胆嚢ポリープの項目をご参照ください。

いずれにしても、これらの記載がある場合には再検査や精密検査が必要ですので、結果表の指示に従って対応してください。

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胆嚢結石・胆管結石

「胆嚢結石(たんのうけっせき)」と「胆管結石(たんかんけっせき)」は、どちらも胆汁の成分が固まってできた「石(結石)」のことですが、その石が「どこにあるか」によって、危険度や治療の緊急度はまったく異なります。

まず、健診で圧倒的に多く見つかるのが「胆嚢結石」です。これは、その名の通り、胆嚢の中に石がある状態です。 「お腹の中に石がある」と聞くと不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は石があっても何の症状も起こさないことがほとんどです。
石が胆嚢の壁を傷つけたり、”がん”を引き起こしたりするリスクは極めて低いため、基本的に治療(手術)の必要はなく、年1回のエコー検査で様子を見るだけで十分であることが分かっています。
ただし、石のせいで「腹痛(胆石発作)」や「炎症(急性胆嚢炎)」が起きた場合などには、胆嚢を丸ごと摘出する手術が検討されます。

一方、見つかった場合に「大至急の精密検査や治療」が必要になるのが「胆管結石」です。これは、文字通り「胆管(肝臓から十二指腸へと胆汁を送り出す管)」の中に石がある、あるいは石が詰まってしまった状態です。
胆管が石で塞がれてしまうと、行き場を失った胆汁が血液中に逆流して「黄疸(おうだん)」を引き起こしたり、逆流した細菌によって命に関わるほどの重篤な感染症(急性胆管炎)を発症したりするリスクが高くなります。

そのため、健康診断の超音波検査で「胆管結石」が疑われた場合には、たとえ今現在、全く症状がなかったとしてもすぐに消化器内科で精密検査(CTやMRIなど)を受けていただく必要があります。

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胆道気腫

胆道気腫とは、胆道(胆嚢と胆管)の中にガスが存在している状態のことです。

超音波検査では、胆管内に線状や点状の高エコー(白い影)を認めます。石灰化や結石も白く映りますが、気腫の場合は体位変換や呼吸によって変化するので、それらと区別できます。

胆道気腫は、過去に胆管・胆嚢・腸管に関連する処置や手術をしたことがある人にみられることがほとんどです。
一方、そのような処置や手術の経験がない方の場合は、胆道消化管瘻(胆石や十二指腸潰瘍によって、胆道と消化管に穴が開き、つながってしまった状態)や乳頭括約筋機能不全の可能性があります。しかし、そのような可能性があったとしても、胆道気腫自体は問題のある所見ではありません。
どのように対応すべきか(放置でよいのか、定期的な超音波検査を行うのか、精密検査をするのか)は施設や判定医の方針によりますので、結果表の指示に従ってください。

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胆泥・肝外胆管胆泥・デブリエコー・胆砂

「胆泥(デブリエコー)」は、胆嚢および胆管の中に浮遊あるいは沈着している小さな点状のエコーであり、フィブリン、壊死物質、膿、濃縮した胆汁などの炎症産物を反映しているものです。

主な原因は急性胆嚢炎などの胆嚢の炎症性変化ですが、他には、遠位胆管閉塞による胆汁うっ滞や長期絶食が挙げられます。
胆泥は、時間経過のなかで消失したり増加・減少したりするものです。また、胆石に移行することもあります。
健診で見つかった場合は、超音波による再検査を勧めるか、精密検査を勧めることが多いですが、施設や判定医の方針によりますので、結果表の指示に従ってください。

「胆砂」とは、5mm以下の小さな結石のことです。こちらは超音波による再検査を勧めることが多いですが、施設や判定医の方針によりますので、結果表の指示に従ってください。

胆泥や胆砂は、急性膵炎の原因になることがあります。
急性膵炎のうち、詳しい検査をしても原因がはっきりしない「特発性膵炎」というものが一定の割合でありますが、「EUS」という胃カメラに超音波を搭載した検査をしてみると、胆泥や胆砂が見つかることが多いことが知られています。

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胆管拡張

「胆管拡張(たんかんかくちょう)」とは、「胆管(肝臓で作られた胆汁を十二指腸へと送り出す管)」が、通常よりも太く広がってしまっている状態です。
胆管の先のほうに何かが詰まりかけていたり、あるいは流れを邪魔する何かが存在していたりする可能性があるため、健康診断では原則として「要精密検査」と判定されます。

しかし、胆管の最終的な出口である「乳頭部(十二指腸との合流点)」のギリギリまで超音波で注意深く追いかけ、そこに結石や”がん”などの詰まりの原因が無いことが確認できた場合は、精密検査ではなく超音波による再検査で良いとされています。

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膵・胆管合流異常疑い

胆管拡張があり、その拡張の仕方が「風船のように丸く膨らんでいる(嚢腫状)」形をしている場合は、生まれつき胆管と膵管の合流の仕方に異常がある「膵胆管合流異常(すいたんかんごうりゅういじょう)」という病気を疑います。
放置すると、膵液が胆管に逆流して”がん”化を促すなどのリスクに繋がるため、自覚症状が全くなくても、専門外来で詳しい検査を受ける必要があります。

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胆管壁肥厚

「胆管壁肥厚」とは、「胆管(肝臓で作られた胆汁を十二指腸へと送り出す管)」の壁が、通常よりも分厚く腫れてしまっている状態です。

原因としては、「急性胆管炎」「原発性硬化性胆管炎」「IgG4関連硬化性胆管炎」などの炎症性の病態や、「胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)」「胆管がん」などの腫瘍性の病態が挙げられます。他には、「胆泥」がこびりついていることで壁が厚く見えてしまうということもあります。

精密検査や治療が必要な病気が多いので、健診で胆管壁肥厚を偶然発見された場合は、専門医療機関に受診して頂く必要があります。

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胆管腫瘍(疑い)

「胆管腫瘍」とは、「胆管(肝臓で作られた胆汁を十二指腸へと送り出す管)」にできた「できもの」のことです。

できものの正体としては、「胆管がん」「胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)」「神経内分泌腫瘍」などが挙げられます。

「胆管腫瘍(疑い)」と結果表に書かれている場合、基本的には「胆管がん」の可能性を最優先で疑い、一刻も早く精密検査に進む必要があります。

胆嚢にできる「できもの」である胆嚢ポリープは発見時に良性のものが多いですが、胆管にできる「できもの」は発見時に悪性のものが多いです。
胆嚢ポリープ」←こちらの項目もご参照ください。

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膵臓

膵臓萎縮

「膵臓萎縮」とは、文字通り、膵臓のサイズが正常より小さいという意味です。

膵臓は加齢に伴って全体的に萎縮していくのが一般的です。それ以外の萎縮の原因としては、「慢性膵炎」「膵実質の脂肪化」「胃切除後」などが挙げられます。

年齢や既往歴、過去の検査結果などによって判定を決めておりますので、結果表の指示に従って対応してください。

膵臓に「くびれ(限局的な萎縮)」がある場合、膵がんの前がん病変である「high-grade PanIN」が存在している可能性が高いことが知られています。
健診レベルの超音波検査でこの所見にどう対応して運用していくかは、今後の課題になっていくことが予想されます。

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膵臓腫大

「膵臓腫大」とは、文字通り、膵臓のサイズが正常より大きいという意味です。

原因としては、「急性膵炎」「自己免疫性膵炎」「膵がん」「悪性リンパ腫」などが挙げられます。

健診で見つかった場合は、専門外来に受診して精密検査を受ける必要があります。

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膵臓の変形

膵臓の生まれつきの形には個人差があります。また、発育の過程や加齢やで変形していく場合もあります。
極端なものには「背側膵無形成」や「膵頭部外側縁突出」などの名前がついています。

これらの膵臓の変形は基本的には軽度な異常とされていますが、施設や判定医の方針によって判定が変わることもありますので、結果表の指示に従って対応してください。

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膵管拡張・主膵管拡張

「膵管拡張」とは、「膵管(膵臓で作られた膵液を十二指腸へと運んでいる管)」が、通常よりも太く広がってしまっている状態です。
膵管は、「主膵管」という一本の太い管と、その他の細かい枝分かれの管から構成されています。
超音波検査では主に「主膵管」を観察していくので、「主膵管拡張」と書かれることもあります。

膵管拡張の原因として最も重要なのは、「膵がん」です。

「膵がん」は、初期の小さい段階では超音波の画面に「カタマリ」として映らないことが多いです。しかし、がんの本体はまだ見えていなくても、その小さな病変が膵管を圧迫して狭めることで、上流の膵管が拡張することがあります。つまり、「膵がん」そのものは見えていなくても間接的に「膵がん」の存在を知ることができる可能性があるということです。

ただし、”がん”だけでなく、「加齢による変化」や「慢性膵炎」によって膵管の拡張が見られるケースもあります。

いずれにしても、「膵管拡張」を初めて指摘された場合、原則的には精密検査が必要です。

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膵腫瘤・膵腫瘍

「膵腫瘤」や「膵腫瘍」は、膵臓に何か”カタマリ”があるという意味です。

膵臓の”カタマリ”の正体としては、「膵がん」「自己免疫性膵炎」「腫瘤形成性膵炎」などが挙げられます。

原則的には、膵臓にカタマリがみられた場合は精密検査が必要です。
ただし、サイズが小さく「高エコー(超音波で白く映る)」のカタマリについては、「慢性膵炎の線維化」「結石」「脂肪腫」などの良性の病変の可能性が高いので、超音波での再検査のみを指示する場合もあります。

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膵嚢胞・膵嚢胞性腫瘍(疑い)

「膵嚢胞(すいのうほう)」とは、膵臓の中にできた「液体の溜まった袋(水たまり)」のことです。

膵嚢胞の正体としては、「膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)」「漿液性嚢胞腫瘍(SCN)」「仮性嚢胞」などが挙げられます。

人間ドック学会作成のマニュアルでは、以下のような対応を推奨していますので、掲載しておきます。

  • 膵嚢胞が小さい場合は、定期的な超音波での再検査で経過を見ていきます。
  • ただし、嚢胞が5mm以上である場合は”膵がん”の発生率が高いことが知られており、精密検査が必要です。
  • また、嚢胞の一部に”カタマリ”の部分がみられた場合や、中の液体に何かが混じっていそうな場合は悪性のものを疑う必要があるので、精密検査が必要です(そのようなときに「膵嚢胞性腫瘍疑い」と記載されることがあります)。

【小さい膵嚢胞に対して、精密検査は必要なのか】
健診などで偶然発見される膵嚢胞の中で最も多いのが「IPMN」です。
IPMNの嚢胞部分には一定の割合で”膵がん”が発生します。また、嚢胞とは離れた部分にも一定の割合で”膵がん”が発生することが知られています(「IPMN併存がん」と言います)。
“膵がん”の検出能(発見力)としては超音波検査よりもMRCPやEUSが優れているので、「膵嚢胞を発見した場合はサイズが小さくてもIPMNを考慮して専門医への受診が必要だ」という意見もあるかもしれません。
しかし、「IPMNが15mm以下の65歳以上の患者では膵嚢胞を持たない集団と比べて、”膵がん”の発生リスクは同等」というデータもあります。また、超音波検査で見つかる「小さい膵嚢胞」は、腹部超音波検査の受診率の上昇や高齢化に伴い今後も増え続けていくことが予想され、その全てに対して精密検査を行っていては検査施設がパンクしてしまいます。
以上のような背景もあり、サイズの小さい膵嚢胞への対応については、人間ドック学会のマニュアルに全国一律で従っているというよりは、健診施設や判定医がそれぞれの考えを持って判断しているというのが現状だと思われます。

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膵石または膵内石灰化

「膵石」と「膵内石灰化」は、どちらも超音波検査において「膵臓の中に硬い成分(カルシウムを含むカタマリ)が映っている」という状態を指します。
膵臓の中には、「膵管」という、膵臓で作られた膵液を十二指腸へと運んでいる管があり、その管のなかにできた硬いカタマリのことを「膵石」と言います。そして、膵臓の「膵管」以外の部分にできた硬いカタマリを「(膵内)石灰化」と言います。
超音波検査では、膵石や石灰化は明確に白く映ります。しかし、明確に白く映るカタマリが膵石なのか石灰化なのかを区別するのは難しいです。

膵石や石灰化は、主に慢性膵炎がある方にみられるものです。膵石や石灰化それ自体は問題ありませんが、膵石が膵液の流れを妨げている場合や、腹痛がある場合は治療対象となりますので、精密検査が必要です。

【慢性膵炎】
慢性膵炎とは、膵臓の内部に線維化、炎症細胞浸潤、実質の脱落などの慢性的な変化が起き、進行すると膵臓の分泌機能が低下していくという病気です。
原因として最も多いのは飲酒ですが、そうでない場合もあります。
症状としては、腹痛・下痢・体重減少などがあります。膵臓のインスリンを分泌する機能が低下すると、糖尿病を発症することがあります。

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膵血管異常

「膵血管異常」とは、膵臓やその周囲を走る様々な血管(動脈・門脈系・静脈)に、通常とは異なる構造や血流のパターンが見られる状態の総称です。具体的には以下のようなものが含まれます。

  • 仮性動脈瘤:膵炎がある場合に見られるものです。漏出した膵液に含まれる消化酵素によって動脈の壁が破壊され、動脈の周りの組織によって辛うじて血流が保たれているという状態のことです。
  • 動脈瘤:動脈の一部が風船のように膨らんでコブになっている状態です。最も多いのは、「脾動脈瘤」というもので、膵臓の尾っぽの近くにできます。
  • 膵動静脈奇形: 膵臓の内部や近傍で動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接交通(シャント)することにより、異常な血管の塊ができるまれな病気です。

これらは、原則的には精密検査が必要な所見です。

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脾臓

脾臓の変形・多脾症

脾臓の形が正常ではない場合に、このように記載されます。
例えば、「多脾症」という、脾臓が複数の結節に分かれている異常があります。多脾症のある方は、他の臓器にも先天的な異常を伴っています。

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脾臓腫大

「脾臓腫大」とは、文字通り、脾臓のサイズが大きいということです。
脾臓の標準的なサイズは年齢・性別・身長・体重などによって変わるので、「これ以上大きいと異常である」という一律の基準は作りにくいですが、人間ドック学会のマニュアルでは、最大径15mm以上は精密検査が必要としています。

脾臓腫大の原因は様々で、肝硬変・門脈圧亢進症、血液系の腫瘍、ウイルス感染症、自己免疫性疾患などが挙げられます。

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脾腫瘤・脾腫瘍(疑い)

「脾腫瘤」「脾腫瘍」「脾腫瘍疑い」と記載されている場合、脾臓に何らかの”カタマリ”があることを意味します。

脾臓にできる”カタマリ”の正体としては、血管腫・過誤腫・SANT・炎症性偽腫瘍など良性のものと、悪性リンパ腫・血管肉腫など悪性のものが挙げられます。

脾臓に”カタマリ”ができることはかなり珍しいことである上に、超音波検査で”カタマリ”の正体を明らかにするのは困難ですので、CTやMRIなどの精密検査を受けることが必要です。

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脾嚢胞・脾嚢胞性腫瘍(疑い)

「脾嚢胞(ひのうほう)」とは、脾臓の中にできた「水のたまった袋」のことです。頻度の高い「単純性嚢胞」というものであれば、生まれつきのものであるとされています。

超音波検査で「脾嚢胞」と確定していれば、追加の検査は必要ありません。

一方で、超音波で観察したときに、ただの”水たまり”ではなく、一部に”カタマリ”の部分がみられたり、中の液体に何かが混じっていそうな場合は「脾嚢胞性腫瘍」の可能性があるので、精密検査が必要です。

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副脾

「副脾」とは、脾臓の周囲にみられる脾臓と同等の機能を有する組織のことです。脾臓の「オマケ」だと考えていただいて良いです。通常は、1cm前後のサイズで、球状の形をしています。

健常人の10〜20%にみられるものですので、ありふれた所見です。大きくなったり悪性化したりするものではないので、心配する必要はありません。

超音波検査で明らかに副脾であると判断できれば、追加の検査は必要ありません。

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脾内石灰化

「脾内石灰化」は、超音波検査において「脾臓の中に硬い成分(カルシウムを含むカタマリ)が映っている」という状態を指します。

脾内石灰化は、過去の感染症(結核やヒストプラズマ症)、血管障害、良性腫瘍などの慢性変化として現れてくるものです。いずれにしても、何らかの変化が起きた「成れの果て」の状態ですので、もはや脾臓の機能には影響を与えず、”がん”のように周囲の組織を破壊することもありません。
つまり、そのまま放置して良いものですし、追加の検査も必要ありません。

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脾血管異常

「脾血管異常」とは、脾臓の内部や周囲を走る様々な血管(動脈・門脈系・静脈)に、通常とは異なる構造や血流のパターンが見られる状態の総称です。具体的には以下のようなものが含まれます。

  • 脾動脈瘤:脾動脈の一部が、風船のように膨らんでコブになっている状態です
  • 側副血行路(異常な迂回路): 門脈圧亢進症など、肝臓への血流が滞る病気が原因で、本来は見えないはずの血管が「迂回路」として異常に発達している状態です。

これらは、原則的には精密検査が必要な所見です。

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脾門部腫瘤

「脾門部腫瘤」とは、「脾門部」にできた”カタマリ”のことです。
脾臓はソラマメのような形をしていますが、くぼみの部分に相当するのが「脾門部」です。

脾門部のカタマリとして頻度が高いのは「副脾」ですが、超音波で観察したときに、カタマリが副脾とは言えないような不自然な形をしていた場合は、精密検査が必要です。そのようなときに結果表に「脾門部腫瘤」と記載することがあります。

具体的には、腫大したリンパ節や、膵尾部の腫瘍などが考えられます。

「副脾」については、別項目(副脾)の解説をご参照ください。

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腎臓

腎臓腫大

「腎臓腫大」とは、腎臓のサイズが正常より大きいという意味です。腎臓のサイズには個人差がありますが、人間ドック学会のマニュアルでは、左右とも12cm以上の場合に精密検査が必要としています。

腎臓腫大の原因は多岐にわたり、腎盂腎炎などの感染症、水腎症、白血病やリンパ腫などの血液疾患、糖尿病、多発性嚢胞腎などが挙げられます。

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腎臓萎縮

「腎臓萎縮」とは、腎臓のサイズが正常より小さいという意味です。腎臓のサイズには個人差がありますが、人間ドック学会のマニュアルでは、左右とも8cm未満の場合に精密検査が必要としています。

腎臓萎縮の原因は多岐にわたり、加齢によるもの、尿路閉塞、慢性的な腎炎、糖尿病、血管性の変化などが挙げられます。

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腎臓の変形

「腎臓の変形」とは、腎臓が正常の形ではないという意味です。先天的な腎臓の形態異常(馬蹄腎、重複腎盂など)のことが多いです。また、左右の腎臓のサイズが明らかに違うという場合も含みます。

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腎腫瘤・腎腫瘍(疑い)

「腎腫瘤」や「腎腫瘍(疑い)」は、腎臓に何か”カタマリ”がある際に使われる表現です。

超音波の検査だけではそのカタマリが良性か悪性か判断しきれない、あるいは悪性の疑い(”腎細胞がん”など)がある場合に、結果表にこの表現が記載されます。

腎臓によく見られる良性腫瘍として「血管筋脂肪腫」があります。血管筋脂肪腫に典型的な所見がみられた場合は結果表には「血管筋脂肪腫」や「腎血管筋脂肪腫」と書かれますので、本項目のような「腎腫瘤」や「腎腫瘍」という表現は使いません。
「血管筋脂肪腫」については、別項目(腎血管筋脂肪腫)で解説していますので、そちらをご参照ください。

「腎腫瘤」や「腎腫瘍(疑い)」といった記載がなされている場合は、精密検査(造影CTや造影MRI)を受ける必要があります。

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腎血管筋脂肪腫

「腎血管筋脂肪腫(腎臓の血管筋脂肪腫)」は、組織学的に血管・平滑筋・脂肪組織からなる良性腫瘍です。
有病率は0.1〜2.2%であり、女性に多いという特徴があります。
小さいものはほとんど無症状ですが、ある程度大きくなると、周囲の臓器を圧迫して痛みを生じたり、腫瘍内に形成された動脈瘤が破裂して出血することがあります。

超音波検査では、「中心部エコーと同等以上の高輝度」「輪郭不整」「尾引き像」などの所見を認めた場合に診断できます。

血管筋脂肪腫であることが確定的な場合には、年1回の超音波検査が推奨されています(じわじわと増大することが多いからです)。
また、サイズが40mm以上の場合や過去の検査と比べて増大している場合は、破裂の危険性を考慮して、精密検査を行うことが推奨されています。

「血管筋脂肪腫疑い」と記載されている場合は、検査担当者が「血管筋脂肪腫に見えるが、確信はできない」あるいは「血管筋脂肪腫でも説明できるが、そうでない可能性もある」と考えたということを意味します。そのような場合は「腎腫瘤」や「腎腫瘍疑い」という表現をすることが推奨されていますが、施設や判定医の方針・慣習でそうなっていることが多いので、柔軟に捉える必要があります。C判定になることもD判定になることもあり得ますので、結果表の判定に従って対応していただければと思います。

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腎嚢胞・腎嚢胞性腫瘍(腫瘤)・多発性嚢胞腎

「腎嚢胞(じんのうほう)」とは、腎臓の中にできた「水のたまった袋」のことです。生まれつきのもの、あるいは加齢に伴って形成されたものであり、よくみられる所見です(50歳以上では半数以上で腎嚢胞がみられるというデータもあります)。
袋の中身はただの透明な液体であり、”がん”のように周囲の細胞を破壊することはありません。

超音波検査で「腎嚢胞」と確定していれば、追加の検査は必要ありません。

一方で、超音波で観察したときに、ただの”水たまり”ではなく、一部に”カタマリ”の部分がみられたり、中の液体に何かが混じっていそうな場合は「腎嚢胞性腫瘍」の可能性があるので、精密検査が必要です。

「石灰化」や「隔壁」とは?
結果表を見た際に、腎嚢胞のところに「石灰化を伴う」「隔壁を伴う」などという言葉が併記されている場合があります。これは、「石灰化」や「隔壁」といった所見が、「嚢胞が良性なのか悪性なのか」あるいは「放置して良いのか精密検査を受けるべきなのか」の判断に関係してくるからです。(専門的な知識が詳しく知りたい方は、「Bosniak分類」と検索してみてください)
この記載はあまり気にせずに、判定に従って頂ければ結構です。

【「多発性嚢胞腎」や「多発性嚢胞腎疑い」と記載されている場合】
「多発性嚢胞腎」とは、腎臓に多数の嚢胞が形成され、腎臓の腫大と腎機能低下をもたらす遺伝性の病気です。
超音波検査で、腎臓に一定以上の個数の嚢胞がみられ、腎臓自体のサイズも大きい場合は、多発性嚢胞腎の疑いがあるので精密検査が必要です。

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傍腎盂嚢胞

腎嚢胞のなかでも、腎臓の出口のほうへと突出しているものを「傍腎盂嚢胞」と言います。
これは、通常の腎嚢胞(単純性嚢胞)と同様、悪性のものではありません。
しかし場所が場所なので、腎盂や尿管を圧迫し、水腎症や腎機能障害を引き起こす可能性がある。

超音波検査では、腎盂拡張と見分けがつきにくい場合もあり、精密検査が必要となることもあります。

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腎石灰化

「腎石灰化(じんせっかいか)」は、超音波検査において「腎臓の”腎実質”という部分に硬い成分(カルシウムを含むカタマリ)が映っている」という状態を指します。

良性の変化ですので、追加の検査は不要です。

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腎結石・腎盂結石・尿管結石

「腎結石」「腎盂結石」「尿管結石」とは、超音波検査において、それぞれ「腎臓の一部(腎盂・腎杯)」「腎盂」「尿管」という部分に “結石=硬い成分(カルシウムを含むカタマリ)” が映っているという状態を指します。

これらは、いわゆる「尿路結石」というものに含まれます。尿路とは、腎臓で生成された尿が体の外に排出されるまでに通る経路のことで、具体的には “腎臓(腎盂・腎杯)→尿管→膀胱→尿道” というルートになっています。これらのルートのどこかに結石ができた状態が「尿路結石」です。

結石によって尿路が塞がれ、上流の尿路が拡張していることが確認された場合は、腎機能低下や感染のおそれがあるので、精密検査が必要です。

また、人間ドック学会のマニュアルでは、結石が一定以上のサイズの場合は精密検査が必要としています。

「腎結石」は痛むのか?
「腎結石」は、腎臓にある限りでは、無症状か、痛みがあっても鈍痛程度です。
しかし、落石(自然排石)して尿管に移動すると「尿管結石」となり、激しい痛みを引き起こすことがあります。もちろん、尿管をスムーズに抜けて膀胱へ落ちる場合もありますし、尿管に留まっているのに痛みがない場合もあります。
あるデータによると、腎結石が落石(自然排石)する確率は50%程度で、その半数程度で激しい痛みがあったとのことです。

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腎盂腫瘍・尿管腫瘍

「腎盂腫瘍」「尿管腫瘍」と記載されている場合、腎盂や尿管に何らかの”カタマリ”があることを意味します。

腎盂や尿管にできる”カタマリ”の正体としては、”がん”が圧倒的に多いので、精密検査を受ける必要があります。

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腎盂拡張・水腎症

「腎盂拡張」や「水腎症」は、腎盂(腎臓のなかで、尿がたまる部分)が拡張しているという意味です。

これが問題になるのは、尿路(腎盂・尿管・膀胱など)が何らかの原因(腫瘍など)によって閉塞した結果、腎盂が拡張している場合です。その場合、閉塞している原因が何なのかを調べる必要がありますし、腎機能低下や感染のおそれがあるので、精密検査が必要です。

一方、腎盂の拡張が軽度の場合は、「飲水後の変化」や「腎外腎盂」などが原因として挙げられ、追加検査は不要と判断されることが多いです。

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腎血管異常

「腎血管異常」とは、腎臓やその周囲を走る様々な血管(動脈・静脈など)に、通常とは異なる構造や血流のパターンが見られる状態の総称です。具体的には以下のようなものが含まれます。

  • 動脈瘤:動脈の一部が風船のように膨らんでコブになっている状態です。
  • 腎動静脈奇形: 膵臓の内部や近傍で動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接交通(シャント)することにより、異常な血管の塊ができるまれな病気です。

これらは、原則的には精密検査が必要な所見です。

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腹部大動脈

大動脈の石灰化・壁肥厚・プラーク・動脈硬化

大動脈において、「石灰化」「壁肥厚」「プラーク」は、主に動脈硬化に関連する所見です。
動脈硬化とは、簡単に言うと、動脈の壁が厚くなり、硬くなることです。動脈硬化が進行すると、脳梗塞や心筋梗塞のリスクになります。

動脈硬化が進行すると、動脈の壁が厚くなる「壁肥厚」がみられたり、コブ状に壁が厚くなり、内側へ飛び出した状態である「プラーク」が形成されたりします。
これらは、程度によっては精密検査や治療が必要になることがありますので、結果表の指示に従って対応してください。

大動脈の「石灰化」は、動脈硬化以外には高リン血症や高カルシウム血症、慢性炎症などが原因になります。いずれにしても、大動脈に石灰化があること自体は問題にはなりません。

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腹部大動脈瘤

「大動脈瘤」とは、大動脈の一部がふくらんでいる状態のことです。
ふくらみの大きさや形によっては精密検査や、迅速な医療機関への受診が必要なことがありますので、結果表の指示に従うようにしてください。

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腹部大動脈解離

「腹部大動脈解離」とは、大動脈の壁に亀裂が入り、その隙間に血液が流れ込んで血管の壁が割れて(裂けて)しまった状態のことです。

健診の超音波検査で指摘された場合、精密検査が必要です。

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その他

リンパ節腫大

腹水・胸水・心嚢水

腹部腫瘤

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この記事を書いた人

人間ドックや健診業務を中心に診療を行っている現役医師。

「人間ドックの結果の紙、見方が難しすぎる」
「異常値を指摘されたけど、病院に行くべきか迷う…」

そんな受診者さんの疑問や不安を解消するために、このサイトを立ち上げました。「現役医師だからこそ語れるデータの読み方」と、「日常生活に取り入れたい具体的なセルフケア」を発信しています。

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